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<nowiki>'''宅配便'''(たくはいびん)とは、比較的小さな荷物を各戸へ配送する輸送便で、路線トラックにおける事業のうち、[[特別積合せ]]事業の一形態であり、国土交通省の用語では「宅配便貨物」と規定されている。荷主の戸口から届け先の戸口までの迅速な配達を特徴とするものである。なお、「[[宅急便]]」という言葉は、「[[ウォークマン]]」や「[[写ルンです]]」同様一般名詞化され広く用いられていたがあくまで[[ヤマト運輸]]の商品名である。
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'''宅配便'''(たくはいびん)とは、比較的小さな荷物を各戸へ配送する輸送便で、路線トラックにおける事業のうち、[[特別積合せ]]事業の一形態であり、国土交通省の用語では「宅配便貨物」と規定されている。荷主の戸口から届け先の戸口までの迅速な配達を特徴とするものである。なお、「[[宅急便]]」という言葉は、「[[ウォークマン]]」や「[[写ルンです]]」同様一般名詞化され広く用いられていたがあくまで[[ヤマト運輸]]の商品名である。
  
 
== 宅配便の仕組み ==
 
== 宅配便の仕組み ==

2020年1月12日 (日) 18:52時点における最新版

宅配便(たくはいびん)とは、比較的小さな荷物を各戸へ配送する輸送便で、路線トラックにおける事業のうち、特別積合せ事業の一形態であり、国土交通省の用語では「宅配便貨物」と規定されている。荷主の戸口から届け先の戸口までの迅速な配達を特徴とするものである。なお、「宅急便」という言葉は、「ウォークマン」や「写ルンです」同様一般名詞化され広く用いられていたがあくまでヤマト運輸の商品名である。

宅配便の仕組み[編集]

ファイル:Sagawakyubin truck01.jpg
佐川急便の配送車の例

大まかには、次のようなシステムによって荷物が届けられる。

  1. 発送を依頼する荷物は、街中や住宅地などでよく見かける宅配便事業者の配送車両によってコンビニエンスストアなどの発送窓口や、直接依頼者から集荷されて、各事業者の営業所に運ばれる。(あるいは、依頼者が直接営業所へ荷物を持ち込み、発送を依頼することもある。)ここから、複数の営業所を統轄する、「トラックターミナル」(郊外や埋立地などに存在する広大な輸送拠点で、かつての貨物列車でいう操車場の機能を持つ。)まで輸送され、発送先や輸送手段(一般、タイム便、航空便など)ごとに振り分けが行われる。
  2. 振り分けられた貨物は方面別にロールパレット単位で集約され、主に、深夜に高速道路を走る長距離大型トラック(場合によっては途中区間に飛行機フェリー、鉄道コンテナなどを使うこともある)によって運搬される。この長距離大型トラックは、路線バス鉄道と同じく、起点(どこのトラックターミナルから出発するのか)・終点(どこのトラックターミナルまで行くのか)・経由地(途中で立ち寄るトラックターミナルはどこか)などが決まっており、鉄道路線バスに時刻表があるのと同じく、運行計画に基づいて計画的に輸送されることから、「路線トラック」(路線バスの貨物版と言ったところ)と呼ばれている。
  3. 「路線トラック」により、配送先に近い区域のトラックターミナルに荷物が到着すると、配送先を管轄する営業所ごとに荷物を振り分けて、再び各営業所までトラックで運ばれる。
  4. 配達を担当する営業所では、届け先の住所や希望する時間帯によって荷物を小分けし、(1)で登場した配送車両によって相手先まで届けられる。

末端の集配作業は、ヤマト運輸以外の宅配便会社は、地方によってはいわゆる「赤帽」などの軽トラック運送業者などに委託している場合がある。

複数の路線トラックに積み替えて貨物が輸送される場合もあるため、貨物の輸送経路を適切に把握する事が重要である事から、荷物には一連番号が与えられ(伝票に記載)引き受けから、営業所やトラックターミナルへの到着、大型トラックへの積み込み、配達など各ポイントを通過するごとにコンピュータに入力され、現時点のステータスが分かるようになっており、発送者が伝票番号を基に貨物の輸送状況を問い合わせる事が可能である。

荷物の到着日数は、距離にもよるが、離島やへき地以外であれば、最短でだいたい翌日~翌々日には届く。

発送の窓口としては、身近にあるコンビニエンスストアが挙げられるが、企業や自宅まで取りに来てくれる集荷サービスもある。最近では、インターネット携帯電話を通じた集荷依頼サービスも登場している。

運賃は、郵便小包同様に宛先地域と重量、大きさなどによって決められる。特別に急ぐ場合などは追加料金を支払うことで飛行機などの高速な輸送手段を使い、短時間で配達することができる。急がない場合の期日指定や時間指定は追加料金がかからない。通信販売企業などで発送量が多い場合、一般よりも安い特別な割引運賃が適用されているといわれている。特殊なケースでは県内や近県限定で500円均一といった運賃で受け付けるところもある。

定義[編集]

便宜上、宅配便には、事業者およびブランドにより次の定義があり、大きさや重量や責任限度額(どこの運送会社も30万円)、いずれの制限を越えても一般貨物(いわゆる特別積合せ混載便と呼ばれるサービス内容)に変わる。以下は、主要事業者の事例となる。

  • 3辺の合計が170cm以内で、かつ重量が30kg以内の1個口の貨物(ゆうパックペリカン便の場合)
  • 3辺の合計が160cm以内で、かつ重量が30kg以内の1個口の貨物(飛脚宅配便パーセルワンの場合)
  • 3辺の合計が160cm以内で、かつ重量が25kg以内の1個口の貨物(宅急便フクツー宅配便の場合)
  • 3辺の合計が140cm以内で、かつ重量が20kg以内の1個口の貨物(スーパーペリカン便の場合)
  • 3辺の合計が130cm以内で、かつ重量が20kg以内の1個口の貨物(カンガルーミニ便の場合)
  • このほか、3辺合計及び重量の制限は運送会社・サービスによって若干違いがある

破損等の保証は、実損額となる。

付加サービスで保険を掛けられる場合もあるが、その際は定義上宅配便の扱いではなくなる要出典。ただし、書留ゆうパックペリカン便セキュリティサービス、飛脚セキュリティ便(こちらについては、事前契約を要し、個人の発送は不可)などに例外がある。

宅配便には一原票一個の原則があり、一つの伝票番号で1個口の荷物しか取り扱えない(サイズ制の料金体系に移行後のゆうパックやJPEXに移管して以降のペリカン便の複数口送り状には、2つの送り状番号の記載がある。なお、ゆうパックのコンビニ差し出しの場合は、POS端末の都合上、複数口送り状を利用しての差し出しが必須となるが、郵便局をはじめ、それ以外の取扱店等では通常の送り状の複数枚利用で対応可能)。ただし、以下の例外がある。

  • ヤマト運輸宅急便の場合、「複数口」の場合は1つの伝票番号で最大5個口まで取扱可能。なお、複数口専用の送り状が必要で、2個の場合は複数口用送り状単独で、3~5個目は、さらに伝票番号の記載がない「副伝票」を併せて用いる(6個口以上は、6個のケースでは4個口と2個口、7個のケースでは5個口と2個口の2つに分けて発送等の方法を取る。当然ながら、5個口プラス1個では、1個のほうに複数口割引は適用されないので注意が必要)。
  • 佐川急便飛脚宅配便の場合は、同じく「複数口」での発送の場合、発送する荷物のうちの1つにのみ通常の元払い送り状を貼り付けし、2個目以降は「貼エフ」とよばれるシールに記入の上、各々の荷物に貼り付ける形となる(飛脚宅配便|サービス一覧(ご利用方法))。

歴史と背景[編集]

宅配便が始まるまでは、個人が簡単に荷物を発送するためには、郵便小包(ゆうパック)か、鉄道を利用した鉄道小荷物(チッキ)しかなかった。それらは、郵便局またはで荷物の発送をしなければならず、さらに、鉄道小荷物は駅で受け取る必要があった。また、郵便小包は当時6kgまでしか扱いがなかった。それらを使わない場合は、通運を利用するしかなかった。

1927年鉄道省と運送業者が始めた集荷・配達を行う特別小口扱(宅扱)が日本最古の宅配便(にあたる)とされている。なお、このサービスは1942年廃止されている。民間では三八五貨物(現在の三八五流通)のグリーン宅配便に次いで、1976年1月20日、大和運輸(現在のヤマトホールディングス)が「宅急便」のサービス名で行ったのが、宅配便のサービスの始まりである。最初は関東地方のみで、1日目の取扱量は11個だった。

1980年代に入ると、店舗網の拡大が始まったコンビニエンスストアを発送窓口にしたり、宅配便の対象地区の拡大や高速道路網の拡充による配送時間の短縮化に連動して急速に取扱量が増えた。この過程で、1978年頃から日本通運など他社大手輸送会社も同様のサービスを開始した。この際、参入した各社が動物(黒猫、ペリカン、カンガルー、小熊など)をシンボルマークに用いたことからこれらの会社間の熾烈な競争は「動物戦争」とも呼ばれた。また、これに伴い鉄道小荷物は競争力を失って1986年11月に廃止されている。

宅配便(実際には「宅急便」)の普及にともない、小口の貨物輸送サービスに競争原理が働き、単なる輸送だけではなく、下記のような新規サービスの提供などが行なわれるようになった。

  • スキー場やゴルフ場等への用具の配送
  • 空港へ、あるいは空港からの手荷物の配送
  • 生鮮食品の配送のための冷蔵・冷凍小荷物配送(クール便)
  • 期日、時間帯指定配送(特に急いで配送したい場合や、配達先の都合の良い時間帯や期日(例・在宅している夜間や日曜日など)に配達を行いたい場合)
  • 地域限定の即日配送(特に急いで配送したい場合のほか、送り先の距離が短い場合、通常運賃で午前中に集荷→当日夕刻以降に配達可能な地域がある)
  • 通信販売の代金決済(コレクト)サービス

など

なお、最初に宅配便サービスを開始したヤマト運輸(法人格としては、現在のヤマトホールディングス)のシェアが大きく、ヤマト運輸のサービス名「宅急便」と混同されやすいが、あくまでも一般的な名称は宅配便である。

主な会社とサービス名[編集]

国内宅配便[編集]

他、中越運送(中越宅配便)、岡山県貨物運送(オカケン)(ハート宅配便)、第一貨物(第一貨物宅配便)、新潟運輸(シルバー宅配便)、久留米運送(宅配便利便)、松岡満運輸(グリーン宅配便)、三八五流通(三八五宅配便)、エスラインギフ(つばめ便)、札樽自動車運輸(スワロー宅配便)、西鉄運輸(ひまわりロケット便)などがある。

なお2009年に、日本通運「ペリカン便」と日本郵便「ゆうパック」の統合が決定している(郵便事業#日通との事業統合について)。「ペリカン便」と「ゆうパック」の統合後のブランド名称は未定(当初ゆうパックに統一される予定であったが、新ブランドに移行するようである)で、合弁企業のJPエクスプレスが提供する予定(ペリカン便のみ2009年4月時点でJPエクスプレスが譲受して事業を開始し、「ゆうパック」との統合ブランドは2009年10月開始を予定している)。なお、スーパーペリカン便は、2009年4月以降も日本通運(日通航空)の扱いのままである。

日本の市場規模[編集]

2004年度[編集]

28億4894万個(前年度比1.6%増)

  1. ヤマト運輸10億6305万個(前年度比5.1%増)
  2. 佐川急便9億4322万個(前年度比1.9%増)
  3. 日本通運3億6228万個(前年度比4.9%減)

ヤマト運輸と佐川急便の「二強」への集中が進行している。

なお、かつて業界3位に食い込んでいたフットワークインターナショナル2001年に倒産しており、現在は宅配便業界から事実上撤退している。

2006年度[編集]

29億3919万個(前年度比0.4%増)

出典、平成18年度宅配便等取扱実績について国土交通省
トラック輸送の取り扱い個数
  1. ヤマト運輸11億6982万個(前年度比4.0%増)
  2. 佐川急便10億2850万個(前年度比3.6%増)
  3. 日本通運3億3043万個(前年度比0.7%増)
2008年度[編集]

32億1166万個 (前年度比0.6%減)

出典、平成20年度宅配便等取扱実績について国土交通省
トラック輸送の取り扱い個数
  1. ヤマト運輸12億3053万個 (前年度比0.3%減)
  2. 佐川急便10億6110万個(前年度比1.1%増)
  3. 日本通運3億2786万個(前年度比2.5%減)

1984年統計開始以来初の減少となった。

国際宅配便[編集]

国際宅配便は航空輸送と海上輸送の大きく2つに分かれている。航空輸送の特色として、緊急性の高い物品や高価付加価値品の利用に適しており、海上輸送に比べ輸送中の振動が少なく、貨物の破損も少ないといわれている。海上輸送の特色としては、多量の積載に耐え、かつ輸送コストがあまりかからない事がメリットである。現在商業用の輸出入の中核を担っている。

海外クール宅配便[編集]

詳細は 海外クール宅配便 を参照

冷蔵、冷凍状態の温度管理を要する貨物の海外向けの宅配便サービス。一般的に海外向けの食品や医薬品の通関や検疫は国別ごとに異なり、困難である。手間を考慮すると宅配便程度物量では非常に割高になる傾向にある。国際宅配便サービスとしては新しく、世界的にもごく一部の企業のみが、取り扱い品目やサービス提供地域を限定しておこなっている。

メール便[編集]

メール便の項を参照されたい。

着払い制度[編集]

通常宅配便においては運送料金は荷送人(発送側)が支払うが、荷受人(受取側)が支払う制度を着払い制度と言う。着払い制度を利用する場合、手数料が掛かったり、複数口を含む各種割引が適用されなかったり(特に、依頼人が取扱店へ持ち込みであっても、集荷扱いの料金が適用される等)、さらには着払いが一般貨物扱いのみの取り扱いなど運送料が思わぬ高額となる場合があるので注意が必要。

余談だが、ゆうパックペリカン便の同一宛先割引の場合、前回の送り状の控えが着払いのもので、今回送るのが元払いというケースの場合は、50円引きが適用される(逆は、上述の事例に漏れず適用されない)。

代引制度[編集]

荷物の引き換えと同時に、商品の代金を現金で支払うことができる制度である。ヤマト運輸や佐川急便のように、依頼人側の契約次第によってはクレジットカードやデビットカードで支払える運送会社もある。通販でよく利用される。ゆうパック以外は契約が必要である(ただし、ゆうパックの場合は、ゆうちょ銀行の通常貯金ないしは振替口座宛送金ないしは普通為替証書の受け取りに限定されるが、他社の場合は一般の銀行宛振り込みなど他の方法でも可能)。なお、運賃とは別に、代引手数料や引換金の振込手数料(加えて、印紙税の納付が必要なケースもある)が必要。

なお、ゆうパックの場合は、引替金以外は、運賃・手数料等、すべて依頼人が負担する形(即ち、受取人払いの扱いが出来ない。引換金の払込も、電信・通常ともに受取人負担となる赤の用紙で振替処理する扱いであり、送り状にも郵便事業私製扱いの赤の用紙が組み込まれている)になる(必要な場合は、引替金に相当額を含めるしかないが、いったん自前で負担する必要がある)。

具体的には、送料(場合によっては、書留料等を含む)・代引料(250円)・送金手数料(振替料金ないしは為替証書の発行料で、3万円を境に分かれている)・(引換金額3万円以上の場合は)収入印紙料(200円。ただし、引換金が100万円以上の場合は400円)が、依頼人負担となる(この場合、受取人が郵便事業に払う金額に課せられる印紙代(受取人に渡される「引換金受領証」に直接印紙が貼り付けられる)と郵便事業がゆうちょ銀行への払込に課される印紙税(麹町税務署への申告納付ないしは印紙そのものを「振替払込請求書兼受領証」の裏側に貼付のいずれか)の2回分が依頼人に課される形となる。前者は依頼人直接負担、後者は送金手数料に含まれる形になる)。
送金手数料が一番安くなるのは、通常払込扱いによる振替口座宛送金だが、個人が利用する場合は所有していないケースが多いため、手数料面では為替証書の送付が現実的な選択肢となる(ゆうちょ銀行ないしは郵便局の貯金窓口での引換を要するため、それが手間な場合は、普通為替扱いに105円加算される通常貯金宛の電信払込扱いを利用する形になる)。
なお、法人・個人事業主が利用する場合に限り、事前に郵便事業の担当支店と「代金引換まとめ送金サービス」を契約することで、ゆうちょ銀行以外の金融機関宛に降り込むことが可能なサービスがある(事前契約を要する点では、一般的な宅配便の代引(コレクト)の扱いと同様であり、郵便事業では大量出荷の場合の利用時に契約を推奨している)。なお、これを利用した場合、みずほ銀行みずほコーポレート銀行宛の振込手数料無料となる。ゆうちょ銀行の場合は振替料金が課されるが、他の金融機関の場合はゆうちょ銀行宛の料金の倍近い振込手数料が加算される。

宅配便に該当しない貨物[編集]

以下に挙げる貨物は、個人宅に配達される場合であっても定義上宅配便の扱いにはならない。

  • 航空機を利用した貨物→航空便(ただし、宅急便タイムサービスや飛脚航空便やパーセル1のように個建で標準宅配便約款に準拠しているものは定義上宅配便となる)
  • 複数個口貨物(一原票に対して)→一般貨物
  • 運送保険に加入した貨物→一般貨物要出典
  • 貸切貨物→チャーター便(バイクを利用したものはバイク便)
  • 引越貨物→引越便

ゆうパックは、民営化に際し小包郵便物から宅配貨物へ移行された。

関連[編集]

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